あさり浜育成事業
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あさり浜保護のきっかけ 文:自然保護事業分科会 主査 呼坂 達夫
アサリ再生事業の発足は大元公園沖の西側で、40年前から親子2代に渡りアサリ養殖を行われていましたが、高齢化のため昨年、漁業権を放棄されることを耳にしました。
私は宮島生まれの宮島育ちでしたが、ほぼ20年前に対岸の大野町へ移住しました。
数年前に定年退職(宮島水族館)となり直後、大野町浜毛保漁協のアサリの漁業権を得て、今では個人のアサリ養殖は軌道にのっています。これらの経験を生かして宮島の放棄されたアサリ養殖場所を再生し、宮島の干潟で子どもたちに観察会や潮干狩りの体験をさせたいと希望しました。
子どもの頃に母によく連れられて潮干狩りに行きましたが私はアサリ掘りよりも、藻場にすむ生きもののイイタコやアナゴ、タツノオトシゴを捕まえたり、ミルガイやマテガイを捕って遊んだことで、当時は自然と海が豊かだった頃を思い出します。
瀬戸内海は海岸の埋め立て事業で干潟が減少していて、それに伴ってアサリの生産量は30~40年前の10%~1%へと減少です。このままで行くと瀬戸内海のアサリは絶滅するかもしれない危機です。アサリの産卵からふ化幼生(プランクトン)や稚貝は100㎞も移動すると言われています。宮島や大野町の干潟の稚貝が着生する浮遊幼生は山口県の西側からやって来るそうです。
また、宮島や大野町で産卵した幼生は広島湾・呉方面の東部へ移動すると考えられています。
これらを考えると我が干潟だけを考えているだけではアサリは守られません。
アサリは瀬戸内海全体に移動するので干潟を守り、ある程度の母貝(親貝)の保護も必要ということになります。アサリの産卵期の禁漁と子貝を守り保護区域や捕獲の調整をしていかなければなりません。
アサリ再生事業に当たっての課題
アサリの再生事業をするに当たって諸問題が多々あります。
アサリの捕獲のコントロールも考えなければなりませんが近年、地球温暖化で瀬戸内海の海水温上昇で瀬戸内海に存在しなかった、暖かい外海に住むトビエイの仲間、ナルトビエイが春から秋に瀬戸内海に入って来て、初夏には大きさ2メートル近くの大群が干潟のアサリ漁場を食い荒らし、一瞬にしてアサリはいなくなります。通過した後の干潟地表の一面には20㎝くらいの円形のクレーターが無数にあって、周辺にはアサリを噛み砕いた貝殻が散乱しています。エイからの食害防止対策のためこの6月に(9名が6日間交替で)アサリ漁場2.500㎡のうち、食害防御ネット6割を設置しました。
外敵はナルトビエイだけではありません。
・クロダイ(チヌ)も春先からアサリの殻を割って食べます。
・フグは貝の鼻という入水管・出水管の身を食べます。、
・2~3㎝のケフサイソガニは、1㎝位のアサリの稚貝を容易に食べるので、対策は地表の小石や貝殻などの隠れ場や住める場所を清掃します。
・同じ仲間の二枚貝のホトトギスガイは拡張.1.5㎝くらいで茶色で縞模様があり、足糸という糸で表層の砂を包み、アサリの呼吸やエサのプランクトンの摂取を妨害します。地表の耕耘によって死滅させます。
次に、年によって変化がありますが俗にいうアオサはアナアオサと言い、窒素やリンが増えると水温や光の影響を受けてアナアオサが異常発生します。
干潟全体から漁場の地表と防御ネットにも付着して、アサリが窒息したり生育の妨害になります。手堅く地道に除去するしかありません。
さらに人為的な問題では、近くに網の浦桟橋がありますが、ここがこの度プレジャーボート専用の係船場所として50メートルも延長する工事が進んでいます。沿岸であるため潮流に変化が起きます。アサリ養殖にとっては重大な問題です。
また、JR連絡船が大鳥居に大接近し、速度を落とさず急カーブを切るので高波が起き、浜砂が変化して厳島港の干潟全体が異常な姿となっている。
今後の展望
宮島でのアサリ再生事業を通して、子どもたちに干潟での体験学習を行い、干潟の生き物の楽しさや干潟の役割、自然の大切さなどを感じて、瀬戸内海全体に関心を深めてもらいたいと願っています。
上記の諸問題のもあり、広いアサリ干潟の管理は並み大抵の努力では進まないことも感じています。メンバーの皆様の協力がなければ早期の実現できないと痛感しています。
今後、2年半後を実施目標に事業を進めていきます。
皆様の協力をお願いします。